To be or not to be

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ポケモンGOのサーチアプリが全滅した件

 10月7日の早朝、ポケモンGOのトレーナーの間に衝撃が走りました。懸念されていたXデーが来てしまったのです。ポケモンの隠れている場所をGoogle マップ上にマッピングしてくれる非公式のサーチアプリやサービスが全滅してしまったのです。

 今年7月にサービスが開始されたポケモンGOですが、「すぐ飽きる」とdisられながらもブームは相変わらず続いており、先日も米国のAppStoreランキングで1位に返り咲きました。国内でも、ポケモンが効率的に捕獲できるスポットやレアポケモンが出現しやすいお台場などは、もう寒くなってきたのに相変わらず大勢の人が詰めかけています。

 この熱心なポケモン・トレーナーたちの常用ツールと化していたのが、「P-GO Search」などのサーチアプリでした。ポケモンGOのサーバに、正規のアプリのフリをしてアクセスし、隠れているポケモンの位置情報その他を取得してきて、地図上に指し示してくれます。それだけでなく、消滅までの残り時間、現在地から向かって間に合うかの予測、指定したポケモンの出現通知や過去の出現履歴表示など、P-GO Searchはポケモンを効率的に捕獲するためのさまざまな便利な機能を備えていました。

 僕もレベル25までは、これらのサーチアプリは「邪道」と使っていなかったのですが、Twitterで情報収集してみると、みんな凄い勢いで国内142種のポケモンをコンプリートしているのを知り、自分もコンプしたい! と遅まきながら9月中旬から使い始めました。

 ポケモンGOポケモン集めは、サーチアプリがなくても、もちろん、なんとかなります。僕も100種類弱までは自力で集めました。しかし、サーチアプリの導入と、ネットで収集したポケモンの巣や生息地の情報を活用することで、ポケモン集めは恐ろしく効率化しました。

 サーチアプリ導入前のポケモン狩りはこんな感じでした。

  1. ポケモンがいそうな場所を歩く
  2. ポケモンの「影」が出たら付近を歩き回って捜索
  3. 運良く遭遇できたらゲットする
  4. 新しいポケモンなら図鑑に登録される

 

 サーチアプリ導入後はこうなりました。

  1. 欲しいポケモンを決める。
  2. 進化元となるポケモンの巣に行く
  3. P-GO Searchで出現場所を特定し乱獲
  4. 必要な数が集まったら進化させて図鑑の空欄を埋める

 このやり方でポケモンGOはまったく違うゲームになりました。ポケモンとの偶然の出会いに頼るのではなく、目標を決め、作戦を立て、情報交換しながら状況を俯瞰し能動的に捕獲作戦を実行する。映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』で、おとり捜査員との待ち合わせ場所に来る連続殺人犯を、多数のカメラと隠れた捜査員の目で監視して捕獲しようとするシーンがありましたが、P-GO Seachによるポケモン捕獲は、司令室で指示する指揮者と、現場で犯人確保に奔走する捜査員の両方の体験を同時にしているようなエキサイティングな楽しさがありました。

 それは、恐らくNiantic社が想定していたノンビリとしたゲームとはまったく対極にある集団ハンティングゲームでした。ひとりでやっていたとしても、有名なポケモンの巣でなくても、レアポケモンが現れるとどんな深夜でもあちこちから人が現れてきて、ポケモンを捕獲しようとしてました。組織化されていないのに統制だって行動するハンター群でした。「あのころの僕らは、ポケモンGOではなくP-GO Searchというゲームをプレイしていたのだ」という指摘がどこかで書かれていたらしいですが、確かにその通りだと思います。

 P-GO Searchのおかげでポケモンの捕獲は効率化し、かつエキサイティングになりました。その一方で、ジムバトルに強い激レアポケモンラプラス」を求めるポケモン・トレーナーたちがお台場など各所で騒ぎを巻き起こしたり、最強の「カイリュー」を作りたい人達が、上野不忍池周辺で参拝者とトラブルを起こして、ポケモンGOの禁止の事態にまでなってしまいました。

 こういった過熱状態を作り出した原因が、P-GO Searchなどのサーチアプリにある、という指摘は間違ってはいないでしょう。

 サーチアプリは、一部の超ガチ勢だけの楽しみだった早期の図鑑コンプを誰でも目標にできるよう敷居を下げてくれて、ポケモンGOの人気上昇と継続に大きな役割を果たした一方で、過熱させすぎたせいで社会問題まで引き起こした、というのが客観的な評価と言えると思います。

 一方でP-GO Searchは、危険なポケモンの出現地点(ポケソース)の情報共有による安全性の確保などにも一定の努力をしていました。そもそもコンピュータとは「知的自転車」であり、自転車が人間の移動能力を補助強化するように、智恵をもって解決すべき事項があればそれを補助して解決しやすくするものです。その点、ポケモンGOは、コンピュータの力によって問題解決をしやすい案件だったため、サーチツールの出現も予測されるべき必然だったと思います。

 しかし、サーチアプリの出現は、ゲームとしてのポケモンGOの消費ペースを速めすぎるという問題もありました。本来、ポケモンGOは僕らのリアルな生活圏にバーチャルなポケモンの存在を重ね合わせることで、AR(拡張現実)アプリとしての初めての大規模な成功例でした。Niantic社のジョン・ハンケCEOが「まだ10%しか実現していない」とする残りの9割には、単なるゲームの枠を超えた展開があるのではないかと勝手に想像しています。アニメ『電脳コイル』みたいな世界が、ポケモンGOによって実現化される可能性だっておおいにあると思います。

 このままサーチアプリを野放しにすれば、ポケモンGOは単にポケモンをコレクションするアプリとして人々に認識され、飽きられてしまう可能性がありました。だから、ポケモンGOの人気拡大に果たした役割もあったとしても、運営としてはその存在を認めるわけにはいかなかったのでしょう。

 しかし、時計の針を巻き戻すことはできません。一度、サーチアプリの効率を知ったトレーナーたちは、かくれているポケモンの距離も方角もわからない現状にストレスを感じているはずです。Niantic社は現在開発中といわれるかくれているポケモンの距離や方角をある程度ガイドできる機能を早期にリリースできるように努力すべきでしょう。

 また、サーチアプリも完全に死に絶えたわけではなく、海外では早くも「FastPokeMap」というアプリが、復活ののろしを上げ始めています。運営とハッキング系ユーザーのイタチごっこも、まだしばらく続きそうです。

ポケモン地図「FastPokeMap」をインストールする方法

 

 

ポケモンGO 強いポケモンの育て方 〜レベル25への道〜

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