To be or not to be

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「さくら学院 2018年度 謝恩会」

ここ最近、アイドルグループ内のイジメや、ファンの暴力、運営の保身と無策など、さまざまな闇が世間で問題となっていますが、その対極にあるような慈愛と共感に満ちたイベントに行って、日常の塵芥に汚れた心の洗濯をしてきました

4月6日、タワーレコード渋谷店のイベントスペースで行われた「さくら学院 2018年度 謝恩会」に行ってきました。このイベントにアイドル本人の出演はなく、代わりに毎年MC兼"担任の先生"の立場で生徒達を見守ってきた、脚本家の森ハヤシ先生が、さくら学院の1年間の成長の舞台裏を語ってくれます。

さくら学院はアイドルユニットであると同時に、大手芸能事務所アミューズの育成機関でもあり、また日本の未来を担う女性を育てる「学校」でもあると標榜しています。

在学中は、小中学生であっても一流のプロであることを要求され、常に高いレベルを目指して膨大なレッスンを積み重ね、本番では大人顔負けの歌とダンスを披露します。

今回、森先生から初期の卒業生たちと飲み会を行った報告がありました。卒業生の中には、モデル、女優、声優などそれぞれ最前線で活躍する子もいれば、アミューズを辞めて自分の力で歌手や役者の道を切り拓く子もいるし、芸能界を引退して看護師や舞台監督など新しい道を歩んでいる子もいます。

とても印象的だったのは、森先生のこんな言葉でした。

「外から見た印象と、本人の感情は必ずしも一致しない。うまく行っているように見えてそうでないこともあるし、その逆もある。でも、さくら学院で高いレベルを目指して努力することが当たり前だと学んだ子たちだから、どんな道、どんな状況にあっても、あの子たちは大丈夫です」

さくら学院の「職員室」(マネージャー陣)は、常に生徒達の未来を見据えて運営が行っているそうで、たとえその瞬間には残酷な決定だとしても、卒業後の進路の糧となることを考えていると。

2018年度の開始当初、「生徒会長」を目指して何年も努力をして誰もが「次の生徒会長」と思っていた子が、指名されなくて舞台上で泣いてしまうという事件がありました。

それも、その子は「生徒会長に選ばれなかった」わけじゃない。その子の将来を考えてトーク力を伸ばすために、「トーク委員長」に指名されたのです。「トーク委員長」は、自らが喋るだけでなく、ライブMCの内容や割り振りを構成する重要な役職です。

彼女は職員室の意図をきちんと受け止め、1年間で素晴らしいトークの達人に成長しました。3月に卒業しましたが、ブログの最後の文章もビックリするくらい立派な成熟した大人のような文章でした。

今後、歌手を目指していくという彼女にとって、いろんな意味で貴重な経験になったことでしょう。

「父兄」と呼ばれるさくら学院ファンの間でも議論があった人事でしたが、最後はすべてがひとつの愛と成長の物語に昇華されたと感じました

お金儲けのためでも、一時の虚栄のためでもなく、10年、20年後の輝く未来を掴みとるために、高いハードルが与えられ、それに挑んでいく。

そんなアイドルグループと、その真摯な姿を、なんの見返りも求めずに応援し続けるファン。そんな関係が世の中には本当にあるのです。