To be or not to be

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「オタク」という言葉について

「オタク」という言葉は、僕の編集者としての一番の師匠であるエンドウさんが発明したのだけど、本人から改めて意図を聞いたことはありません。

始めて「オタク」という言葉に接したのは80年代の月刊OUTの『愛はオタクを救う』という巻頭特集でした。その記事によると“オタクとは、会話のときに相手に対する2人称として「キミ」や「アナタ」やその人の名前ではなく「オタク(お宅)」と失礼な言い方を使いがちなコミュニケーション不全なマニア層のこと”みたいな説明が4コマ漫画で説明されていました。

これを読んだときに、「あー、いるかも!」と膝をポンと打ちたくなるほど納得して笑いました。高校生だった当時、アニメファンのセル画交換の現場に行くと、そんな感じの人がチラホラいる感じでした。

その後、(エンドウさんの関係者でもある)宅八郎さんがメディアに登場したりして、オタクがマニアの蔑称として定着しましたが、マンガ・アニメ・ゲームの2次元文化が社会的に広がりを見せると「オタク」の意味もかなり変化してきました。

若い人たちの間では、マンガやアニメがちょっと好きなだけでオタクを自称したり、「リア充」の対義語としてオタクが使われる傾向があるように見え、それに対して、自称真性のオタクたちが、「そんなのはオタクじゃねえ」と怒ってみたり。

■オタクには2種類ある

興味深いのは、アニメ・マンガの2次元系のオタクとアイドル系のオタクでは、同じオタクでもかなり雰囲気が異なること。アニメ・マンガ系のオタクから見ると、騒いだり仲間を作るのが好きなアイドル系のオタクは「パリピ」に見えるかもしれません。

でも、一番大きな変化は、2次元系のオタクも、アイドル系のオタクも、真面目で礼儀正しい人が多いことかなと。アイドルオタクの中でも「厄介」と呼ばれる、現場で大暴れしている連中ですら、ライブが終わるとゴミ拾いしていたりします。

時代が進んで、SNSなどで「マナー違反」に対する圧力が強くなったせいなのか、若い人ほど対人対応がちゃんとしている感があります。

社会的には非常に良いことですし、対人関係でストレスを感じずに済むのはありがたいことですが、自分が喋りたいことを早口で延々とまくしたてるオタクとか、なんか妙に偉そうでぶっきらぼうでイジワルなオタクとかに会えなくなったのは、ちょっとだけ寂しい気もします