『エロティック・ジャポン』と日本人のフェティシズム
昔買った『エロティック・ジャポン』を今さら、読んでみた。古今の日本のセックス文化をフランス人著者が収集して分析した2006年ごろの本で、よく調べているので資料的価値は高いと思う。でも、著者が描き出す“日本人のセックス感”についてのストーリーが微妙に勘違いしているのか、単に話を面白くしようと盛っているのか、キモチ悪いことこのうえない。
外国人が読んで喜びそうな、日本のエキセントリックなフェティシズムが多く取り上げているのだけど、定量的な検証なしに思い込みで全部書かれている。
たとえば、冒頭からかなりの文章が、日本人のロリコン指向に割かれているんだけど、たとえば、日本のAV市場やエロマンガ市場では、“ロリコンもの”より“巨乳もの”のほうが大きなシェアを持つ、みたいな話をこの著者は知らないか、無視している。
現在の日本人のネオテニー指向はもちろん顕著だと思うのだけど、この著者は、若い頃から三島由紀夫やマンガに接していたという割に、“萌え”や“カワイイ”の意味をまったく理解せずに、すべてを性的リビドーに安易に結びつけてしまっているのが、結局、外国人だから理解できないのか、1969年生まれという年齢的、世代的限界なのか。
いずれにしろ、ちょっと残念でした。
- 作者: アニエス・ジアール,にむらじゅんこ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/12/18
- メディア: 単行本
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