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『莉音さんバンド』のライブがめちゃ熱かった

昨夜は、珍しく男性ロックバンドのライブ『LIVE KITCHEN! -RINON SAN BAND JAPAN LIVE 2019〜お元気ですか?僕たちは元気です〜』に行ってきました。

ただ、ひたすらに熱く激しい、熱唱とライブパフォーマンスでした。

 

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『莉音さんバンド』は、アイドルグループ『さくら学院』のオタクによって結成されたバンドです。

さくら学院父兄(ファン)は、ヘビーメタルバンド『BABYMETAL』から流れてきたファンが多いため、ロックバンド経験者が珍しくありません。でも、莉音さんバンドのボーカルの「なおすけ」さんはバンド経験はなかったようですが、そのエキセントリックなまでのアイドルオタクとしての"熱さ"と"無償の愛"を音楽の形で表現しようという周囲の熱意からバンドが組まれました。

 

■莉音さんとなおすけさん

なおすけさんは、さくら学院の2015年度生徒会長だった磯野莉音さんの熱烈なファンです。磯野莉音さんは、さくら学院の過去24人の卒業生の中でも、もっとも強烈で特異なキャラクターでした。その莉音さんのファンも強烈な人が多いのですが、なおすけさんは最右翼でした。偏食がひどい莉音さんの好きな料理が「オムライス」と知ると、独自に「オムライスTシャツ」を作成してそれを着てライブに通い、Twitterでは常に莉音さんへの愛を語り続け、その極端なオタクぶりから逆に父兄界隈の人気者になっていきました。

かつて"宇宙人"と言われた磯野莉音さんは、さくら学院史上最高の生徒会長となって母校の危機を救い、まるで一陣の風のように僕らの前から去って芸能界を引退してしまいました。それでも、莉音さんへの無償の愛を抱き続けてやまない、なおすけさんのビックリするくらいの純情をフィーチャーしたのが「莉音さんバンド」なのです。

 

■オタクが本気になるとヤバい

同時に莉音さんバンドのメンバーは、エンターテインメントの手練れでもあります。さくら学院の年間のアイドル活動と常にそれを報道し続ける音楽ナタリーを、まるまるパロディにしたプロモーションで、MVを作成し、手書きブログやニュース速報を発行し、本番でもさくら学院の学院祭ライブを真似てSF仕立ての寸劇までやってのけました。

大人が本気になってふざけると、単なるお遊びを超えたクオリティのエンターテインメントを作ることができる。そのこだわりに、いつも抱腹絶倒しながら共感します。

でも、もっとも賞賛されたのは、なおすけさんのパフォーマンスでした。アラサーのオタクが最初から全力全開で雄叫びを上げるように歌い、飛び跳ねて熱狂を作り出していきます。なおすけさんは歌は上手くありません。というか下手くそです。本人もライブ後に「あんなに練習したのにリズムが取れなかった…」と反省していましたが、そんなことはまったく関係ありませんでした。とにかく、ひたすら真っ直ぐに愛を叫ぶ。叫び続ける。それが伝わって感動になる。

沢山の一流のヘビーメタルやロックのライブを見てきて、自分たちも少なからず演奏経験のある父兄たちが異口同音に「なおすけくんには適わない」「まるでベテランのパンクロッカー」「わたしもまたパンクバンドやりたくなった」と絶賛していました。

 

■アイドルで知った感動をオタクが追体験する

さくら学院は「伝える」ということに非常にこだわりをもっています。歌やダンスや演技の技術をどんなに磨いても、伝えるキモチがなければ、観客を感動させることはできない。だから、さくら学院の生徒達は、常に「何を伝えたいか」を考えさせられ、意識し続けます。毎年同じ歌を歌うのに、年度毎に歌詞やダンスの解釈を考え、全員がイメージを共有し、表現することを心がけます。

その、「なにを伝えるのか」という部分を、父兄自身が自分たちも1年半かけて苦闘しながら模索し、掴みとった成果を表現してみせた。さくら学院を見て感動した「成長」を、オタクである父兄が追体験し、みんなでそれを共有した。それが今回のライブの感動の正体だったと思っています。

「大人のバンドってもっとスマートにやるもんだと思っていました」「ガチで何度もケンカしましたよ。お前やる気あるのかよ!って」「寸劇のケンカもベースはリアルです。そこも、さくら学院と一緒なんです」

アフターパーティでバンドメンバーから話をきくと、「オタクだって、オッサンだって、まだままだ成長できる」と勇気が沸いてきました。そして、こんな素敵で楽しい人達と出会えて本当に良かった。さくら学院父兄で良かった、と噛みしめた夜でした。

 

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